歯科コラム

2024.08.16

マウスピース型矯正装置(インビザライン)でどうして歯が動くのでしょうか。

このことに関して疑問に思われている方が大勢いらしゃるので、そのことで考えてみたいと思います。

まず歯の形態ですが、歯は見えている部分が3分の1で、後の3分の2の部分は歯肉の中に入っており、歯肉の中には骨があり、実は硬い骨が歯を支えているという構造になっています。そのため結構硬いものが噛めるというわけです。ところで歯も堅いし骨も堅いのですが、歯は鉱物のようなものですが骨は骨細胞と呼ばれる細胞からできています。骨折を直すとき骨折部が動かないようにギブスで固定しますが、そうしてしばらく動かさないようにしていると、骨折部には自然と骨ができて治癒してしまいます。これは骨が細胞でできている証拠と言えます。

そこでマウスピースの話ですが、この方向に0.2ミリ歯を動かしたいと思ってマウスピースの形を0.2ミリ変形させると、0.2ミリ分だけ圧が歯にかかります。その圧は同時に骨にもかかっていきます。この時、歯は鉱物のようなものなので変化は起こりません。しかし骨は細胞なので、破骨細胞が出現して骨は吸収してなくなり、その位置へ歯が0.2ミリ移動します。歯が移動を起こすと元、歯があったところには隙間ができることになりますが、その0.2ミリの隙間には新たに細胞である骨ができてきます。結果的に歯自体に変化はなく、歯の位置と角度だけが変化し移動を起こしたことになります。

この変化が1個のマウスピースで起こると考えられます。10個30個50個とマウスピースを交換していくと、歯並びは大きく変化していくことになります。無事満足して矯正治療を終えられて、やってよかったとおっしゃっている方でも、感想文を拝見しますと、かなり多くの方が疑心暗鬼で始めたと告白されています。ワイヤーブラケット矯正のように金属も使用しないし、ペラペラのマウスピースは目ためにも頼りなく感じたのだと思います。しかし骨吸収を起こし歯を移動させるだけの十分な力は持っているものと思われます。

欠点はあるものの、装着していてもわからないといった点や、痛みがほとんどないといった点は、これから矯正をしようとする方にとってはハードルは低いといえるのではないでしょうか。

終了してから「もっと早くやっておけばよかった」とおっしゃられる方も多いですので、ご興味のある方は連絡をお待ちしています。